入眠前のシンプリスト

不眠症のシンプリストが眠る前に綴る、日々の小さな幸せのお話です。

映画「ウォーリアー」の話(#ネタバレあり)

アマゾンプライムでたまたま観た「ウォーリアー」…

ヤバいです、号泣です、面白い!!!


アル中の父親の為に離散した家庭の兄弟が成長後、それぞれの人生を背負って総合格闘技イベント「スパルタ」に挑むこの映画。


スパルタに至るまでのパートは、父親の言葉やトレーナーとの昔話とかちょっとした端々に

兄夫婦・親子の絆や教員として愛されてる様子、

翻って弟の(おそらく)抱えるPTSDなどを散りばめ、テンポ良く進みます。


そして始まる、トーナメントのシーン…これが、圧巻です。

本物の総合格闘技戦観てるようで、テンション上がりまくりです。

トーリー上、兄弟は決勝残るんだろうなあと見当ついてても目を離せないのは、格闘技映画ならではです。

オクタゴン金網に人が当たる音、徹底した厚い筋肉、挑発に実況、そういった全てが、正に観たい順番とバランスで映し出されていきます。

ブランクがあり体格にも恵まれてない兄が勝ち続ける手段が、打撃でなく関節技だというのも、最大限リアルな設定でいいですね。

試合は観ずに家で待つ奥様が、試合結果をメールで受取り喜ぶ姿の可愛いこと…!


マスコミ報道がタイミング良すぎるとか、

兄弟の対比(礼儀正しい柔術系vsアウトローの怪力ハードパンチャー)が極端過ぎるとか、

父親が決勝でセコンドに計らずもいない事態となる(=兄弟の一方に味方する状態とならない)とか、

そういう点が脳裏を過っても意識的に無視したくなる程、決勝前時点で映画にどっぷりハマってました。

元々は優秀なレスリング選手で父親に贔屓されていた筈の弟が、徹底して打撃に徹するスタイルなのは、父親やかつての自分に対する、拒絶の意思表示なのでしょうか。

K-1で言うとかつてのレバンナのような、ファンを惹きつけるスターとして一目置かざるを得ない選手、といった印象です。


勝戦は弟の負傷により、早々に兄の勝利確実となってしまいます。

そこからの時間は、兄の葛藤と弟の孤独で激しい魂が描かれます。


エンディングを兄弟和解のシーンと捉える方もいらっしゃるでしょうが、私はそう思いません。

ギブアップさせた時の兄の言葉は温かく、弟もそれを受け容れたと感じますが

弟は最後まで、甘やかなものに容易に膝を折るような人間の表情はしていませんでした。

その横で、弟を支えカメラを追い払う兄の手の動きが見えたりすることが、どんなに胸を動かすものなのか…これは、観た人でないと(かつ、格闘技好きでないと)、分からないかもです。

感動した、と恥ずかしさゼロで言い切れます。


が、これが映画でなく本物の総合格闘技だったら、私は絶対この兄弟のどちらでもなく、コーバのファンだったでしょう。

体躯と技巧を兼ね合わせたタイプが好きなんです…。


ちなみに、感動の余韻のままにエンドロールまで観ていたら、急に日本人名が出てきてびっくりしました。

Masanobu Takayanagiさんという方が、撮影されていたようです。

UFCの国の人でなく、日本人が撮ってたのか!という驚きと、あの素晴らしい映像の撮影者が同国人…という誇らしさで、最後の最後にまた、ちょっとテンション上がりました。


ああ、久々に本当に、いい映画でした…!!!